隧道の詩

定形も自由もいろいろ

不安定な気持ちを言葉にしたい。それだけの気まぐれなブログ。口語自由詩ばかり。
くだらない近況報告も挟みつつ。
過去に書いたものも少々。
2016.7.5開設

ブックカバーの詩

私は、私の大好きな言葉を紡ぐあの人の
本当の名前も性別も知らないのです。
ハンドバッグに入る小さな本に

無機質に印刷された文字だけが、

全てでした。


誰もが、どこか遠くにいる人の歌う歌を聴いて、

描いた絵を見て、
撮られた写真を信じて、

その人を知ったような気でいます。
私も。



夜ですね。

あの人はまた、素敵な言葉を
星と一緒に紡いでいるのでしょう。


私は平凡。

だからこんな夜にも、擦り切れた表紙を撫でては、
遠くのあの人の本を

何度も読み返すことしかできないのです。

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