隧道の詩

定形も自由もいろいろ

不安定な気持ちを言葉にしたい。それだけの気まぐれなブログ。口語自由詩ばかり。
くだらない近況報告も挟みつつ。
過去に書いたものも少々。
2016.7.5開設

海に呼ばれる

堤防の端に立つと 誰かに呼ばれる気がする 釣り人の糸が垂れる波間から 三半規管をグラグラ揺らす いつか、昔に聞いたような声 還ってこい 還ってこい 細胞分裂するよりずっと前にいた 豊かで幸せな海 浸透圧で 私の中のドロドロぐちゃぐちゃしたものが 残りの寿命を使って 帰っていくのだろうか 強い風に振り向く私を突き飛ばす、私 幸せな事故でした おかえり ただいま 貴方も呼ばれているよ ずっと深くずっ…

大人になるということ

夜が降りてきて 酸素は地球深くに潜り込み 足りない頭で答えを求めて パクパクとあえぎながら空を見上げていた。 いつもより大きな月に浮かぶ模様を 水晶玉に映った未来のように眺めていた君は 純粋で美しかったよ。 朝が昇ってきて 酸素を得た君は とまれの標識の前で笑っている。 夜が来れば 停止線を越えられると思っている君。 もう大人になったんだろう。 それより先にあるのは 月のない空だけだよ。

美しさの境界

心が錆びること、 肉体が崩れていくこと、 どちらが先なのか分かるはずがない。 枯れていく花を美しいと思える境界が どこなのか分からないように。

冬を天秤に乗せて

私達の友情を毛糸のセーターで例える、冬 笑っていると温かいね、 言葉も、優しくて温かい。 一緒に鍋を食べる約束だとか クリスマスに一緒にカップルを羨むとか 何でもないことが嬉しい。 セーターの端が切られた。 するするとほどけていく糸は 新しくマフラーに編みかえられて、 恋に例えられる。 一緒に初詣に行くとか 手を繋いで寒さも幸せに感じて いつだったか編んだセーターのことを忘れてる。 友と恋とが天…

背景

世界中にあふれている悪意が、私を通り越して、どこか遠い海で 魚のえさになっていればいいのに。 過去の戦争だって、殺人だって、知らなくても生きていけるのだから、 どんな悪意だって私たちには関係ない。 劇の舞台の背景パネルみたいに、あってもなくてもいいようなものであればいい。 夕日が沈んでいく街で、明日が来なければいいと思う事だけが、 唯一の悪意であるような世界で生きてみたかった。 それでも記録され…

思い出の中の人

あなたは青春18切符で旅に出た 隣に私を選ばなかった理由 それがわからないほどあなたに無関心ではなかったよ 私は思い出にならない過去の人だった

視界の外

私達はいつだって頭の中で人を殺している 名前も覚えていないクラスメイト 顔も本名も知らない友人 花に水をやらないのと同じだ 興味がないなら、殺してることと同じだよね 死んでいるのか生きているのかわからない シュレディンガーの猫みたいだね どんなにかわいいと言っていた野良猫でも、 視界の外に行ってしまえば墓なんか作らないでしょ

【近況報告?】

随分長い間放置してしまったブログ。 私は忘れていたわけではないんですよ。 夏休みの間は自動車学校に行ったり、友達と遊びに行ってそれなりに青春しました。 ただ、詩を書くような心持にはなれなかったというだけです。 花火でもすれば夏の詩が書けたでしょうか。今年はしていなかったなと今になって気づきました。 なんだか誰かに言い訳をしているみたいですね。 もともと気まぐれに書いていくブログなので、こんな報告…

非生産的な恋

僕が 泣きたい と言って 君が うん と答える それだけの関係 この涙が生産的なら ずっと君と一緒に居られたのにね

わかるよ

共感と共有の有刺鉄線で囲まれて育った女子高生たち 今頃君はSNSで 「わかる」 って誰にでも言ってるような空っぽな大学生になってるかな 本当は哀愁漂う花が好きだったのに 作り物の香りを信じて生きているでしょ? 本当はたくさんの言葉を持ってるのに 軽薄な歌を毎日聴いてるでしょ? わかるよ だって私も少し前は女子高生だった