遠距離恋愛ができない人
店の奥の窓際の席
1杯のホットコーヒーから始まったような恋
貴方は1度もカウンター席には座らなかった
遠くから微笑むあなたに
微笑み返せなかったのは
私の理想が、願望が、熱情が
あなたと飲んだ最初の1杯の味を
インスタントコーヒーより驚きのないものに変えてしまったから
思ったより平凡で、寒い冬の日なら
冷めていくのも簡単なことだった
私、猫舌なの
あなたが頼んでくれたホットコーヒーに
氷を一欠片入れて
薄く生ぬるくなる頃には
もう閉店時間が来ている
温めなおそう
そう言ってくれる彼
リビングルームでマグに入ったインスタントコーヒーを飲んでいる
私、いつだって
火傷するくらいのコーヒーが飲みたいの